皆さま、こんにちは。吉森保です。
ここ「細胞の学校」では、私のパートナー、ダッキーとともに細胞について勉強します。「細胞」と聞いて、学生時代の生物の授業を思い出して思わず思考が停止した方、「あ、これは無理だな」と画面を閉じようと思った方、どうかご心配なく!
「細胞の学校」の入学条件は、「細胞について、何にも知らないこと」です。細胞ってなんだろう、どんなものだろうと思った方、ダッキーと一緒に細胞について少しずつ学んでみませんか。最近よく耳にする「遺伝子」や「免疫」も細胞と関係しています。皆さんが考えているよりも、細胞って実は身近な存在かもしれません。「学校」とはいえ、楽しく、わかりやすくを大切に。この機会に、細胞について詳しくなりましょう!
細胞に注目!
吉森先生、「細胞の学校」ってなんだか難しそうなタイトルです。私にもついていけるでしょうか?
もちろんです。皆さんが思っているよりも細胞は身近な存在なんですよ。ところで、ダッキー。私もダッキーも生き物です。でも、私たち、見た目は全然違いますね。
吉森先生は人間だし、私はアヒルでしょう? 同じ方がおかしいですよ。
でもね、ダッキー。ダッキーも私も、たくさんの細胞の集まりからできていて、細胞の形状は実はほとんど同じなんですよ。
こんなに見た目が違うのに?
もちろん、細胞によってその役割に違いはありますが、細胞の中の基本的な構成や仕組みはとても似ているんです。
私と先生の細胞がほとんど同じ……! 喜んでいいんでしょうか。
ははは。面白いことを言いますね。でも、そうなんです。ダッキーと私は外見こそまったく違っても、細胞だけでは区別がつかないんですよ。
不思議ですね。ちょっと面白くなってきました。
興味を持ってもらえてよかった! 「細胞について話します」というと、難しそうだと感じるかもしれませんが、そんなことはありません。細胞は人間が生きる「社会」にとても似ているんですよ。そう思うと、ちょっと親しみがわきませんか。ここでは、難しい専門用語を覚える必要はありません。細胞って一体どういうものなのか、何をしているかを少しずつ見ていきましょう。細胞について詳しくなれば、私たちの体で起きているあれやこれやがわかるようになります。
私たちの体は細胞からできている
では、質問です。私たち人間や動物や植物などが「生物」と呼ばれる理由って何だと思いますか。
何があれば「生物」になるか、ですか? 心臓や胃などでしょうか。でも、植物に内臓はありませんよね。
いいポイントですね。植物や微生物も「生物」に含まれます。正解は「細胞」です。細胞という単位からできているものを「生物」といいます。ダッキーと私の体も細胞からできているんですよ。
細胞から! 考えたこともありませんでした。
不思議ですよね。すべての生命の基本単位は細胞なんです。あらゆる生物は細胞が集まってできています。
私も細胞からできているんですね。でも、細胞って体の中にいくつあるんでしょうか。
いい質問ですね。生物によって細胞の数は違います。人間の細胞は約37兆個です。卵子というひとつの細胞からはじまって、卵子の中に精子が入り受精すると、受精卵が分裂をはじめます。その後、細胞分裂を何度も繰り返して、最終的に37兆個の細胞の集まりになるわけです。
37兆個って、どのぐらいなのか想像できません!
例えば、細胞ひとつひとつが東京ドームにコンサートを見に行くとします。東京ドームの収容人数は5万5千人ですから、37兆個の細胞がみんな入るためには、東京ドーム約13億個分が必要になります。
人間って、そんなにたくさんの細胞からできているんですか?!
少しイメージしやすくなりましたか? でも、はじまりはたったひとつの細胞です。そのひとつが最終的には37兆個となり、目や皮膚などの細胞になります。細胞はひとつひとつが生きていて、それぞれに違う役割があるんですよ。
みんな違う役割って、なんだか人間みたいですね。
そうなんです。そして、役割は違っていても、ひとつひとつの細胞の中には、人間ひとりをつくるのに必要なすべての情報が入っているんです。
すべての情報! では、細胞は私たちの生命の大きな鍵を握っているんですね。
そうです。まさに、あらゆる生命の基本単位は細胞、ということです。普段何気なく「元気だ」とか「具合が悪い」と言いますが、「元気」というのは、「細胞が健康」ということなんです。病気になったということは、どこかの細胞の調子が悪いんです。
病気になるのも健康でいるのも、すべては細胞次第なんですか! 細胞って、思っていたより責任重大なんですね。
そのとおりです! 私たちの体は細胞からできていますからね。
今日のまとめ
すべての生命の基本単位は細胞。私たちの体は細胞からできている。
出典・参考資料:『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』吉森保著 日経BP
東京ドーム:https://www.tokyo-dome.co.jp/dome/about/