細胞の大きさってどのくらい?
前回、私たちの体は細胞からできていることを勉強しました。
私たちが元気なのは、細胞が健康なおかげでしたよね。
そうです! では、人間の細胞はどのくらいの大きさだと思いますか?
ご飯粒ぐらいでしょうか? いえ、もっと小さいかもしれません。
約37兆個ある人間の細胞は、大きさも形もさまざまです。1 m以上の長いものもあれば、0.001 mmぐらい小さいものもあります。平均的な大きさは約0.02 mmです。
0.02 mm! そんなに小さいと、肉眼では見ることができませんね。
そうなんです。細胞は「とっても小さい」と覚えてください。人間の体の中には胃や肝臓などの臓器、筋肉や皮膚といった組織がありますね。ひとつひとつの細胞はとっても小さくても、これら臓器や組織も細胞がたくさん集まってできているんですよ。そして、臓器や組織などからひとりの人間ができます。
細胞のすごさがわかってきました! 人間の体の中では、細胞が一番小さいのでしょうか?
いい質問ですね、ダッキー。ひとつひとつの細胞の中には「オルガネラ」と呼ばれる細胞の中の臓器のようなものがあります。
そんな怪獣みたいな名前のものがあるんですか!
ふふふ。ダッキーはおもしろいですね。オルガネラはラテン語です。和名は「細胞小器官」といいます。例えば、皆さんが小学校の授業で習った「ミトコンドリア」。あれは、オルガネラのひとつなんですよ。ほかには遺伝子情報を持つ「核」も細胞の中にあります。
ミトコンドリア! 懐かしいです。
身近になってきましたね。オルガネラは細胞の中にありますから、細胞よりも小さい器官です。そのオルガネラより小さいものとして、「超分子複合体」があります。
なんだか難しそうな名前です。
超分子複合体は、タンパク質がたくさん集まったものです。そして、生命科学でいう生命の一番小さい階層に「高分子」があります。タンパク質、脂質、核酸などです。細胞自体も細胞の中も高分子でできているんですよ。
一番小さいのが高分子。細胞よりも小さいものがたくさんあるんですね!
そのとおりです。細胞の中と外にあるものの大きさが何となくわかると、イメージしやすくなります。
見た目は同じ。でも、細胞は日々入れ替わっている
ダッキー、去年のあなたと今年のあなたは同じでしょうか。
今年に入ってから、毎日たくさん泳いでいます。そのせいか、去年より体が引き締まってきました!
いいことですね。では、細胞はどうでしょうか。去年と今年の細胞は同じでしょうか。
細胞ですか。例えば、化粧品のコマーシャルで、肌のターンオーバーや肌の生まれ変わりといった言葉を聞きます。細胞と何か関係がありますか。
素晴らしいです、ダッキー! 実は、神経細胞など一部の例外を除いて、多くの細胞は日々入れ替わっています。ですから、私たちの体の中にある去年と今年の細胞は違うんですよ。
入れ替わるって、どういうことでしょうか。
古くなった細胞を新しく生まれた細胞と交換しているんです。車の部品が古くなったら新しいものと交換するのと同じです。
車の部品交換と同じことが私たちの体で起こっているんですか?
そうなんです! 人間の皮膚で考えるとわかりやすいかもしれません。皆さん、子どもの頃に転んでひざを擦りむいたことがありますよね。でも、数日から一週間もすればきれいに治ってしまいます。これは、古い皮膚が角質としてはがれ落ちて、新しい皮膚が出てくるからです。でも、ひざはひざです。見た目は変わらず、細胞の形も働きも同じです。これを難しい言葉で「動的平衡」といいます。
見た目は同じでも、去年と今年の私は実は全然違うんですね。なんだか私、自分がかっこよくみえてきました!
おもしろいですよね。このように古い細胞が新しい細胞と入れ替わることを「新陳代謝」といいます。入れ替わるスピードは細胞によって異なりますが、私たちの体は日々「変わりまくり」です。古い細胞を新しい細胞に少しずつ交換しているおかげで、私たちは健康でいられるんです。
では、新陳代謝が悪いとか、肌のターンオーバーが遅いというのも、細胞が関係しているんですね! 細胞レベルでものを見るって新鮮です。
だんだんおもしろくなってきましたか?
今日のまとめ
細胞は「とても小さい」。見た目は変わらないが、細胞は日々入れ替わっている。
出典・参考資料:『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』吉森保著 日経BP