オートファジーが叶える未来アンチエイジングからビヨンドエイジングへ

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アンチエイジングと聞いて何を思い浮かべますか?

アンチエイジングとは、アンチ(anti:抗う)+エイジング(aging:加齢)という言葉のとおり、加齢や老化に抗うことで、いわゆる若返りを意味します。

いつまでも若々しくありたい、健康な体を維持したい、実際の年齢よりも若く見られたい、出来るだけ長生きしたいなど、老いを食い止めていつまでも若々しさを維持したいという欲望は、老若男女すべてに共通しているといえるでしょう。

一方で、アンチエイジングという言葉が広まることで、衰えていく体の運動機能を取り戻したい、健康だった昔の体にもどりたい、シミやシワなど肌の老化を感じさせない若かった頃の肌に戻りたいなど、現実的には難しいと思えることを叶えられるという誤解も生まれているようです。

その誤解を解き、アンチエイジングに対する正しい考え方を、オートファジー研究が進展させたと言えます。

オートファジーとは何なのでしょう?

オートファジーは、2016年にノーベル生理学・医学賞の受賞により大きな話題になりました。このオートファジーとは細胞自身が持つ分解・リサイクルの機能です。これは、抗老化にも関わりが深いことが判明しています。

つまり、オートファジーとは「細胞の中の物を回収して、分解してリサイクルする機能」のことで、細胞の恒常性を保つ働きをするものです。私たちの体は、細胞の中の「部品」を毎日少しずつ分解して入れ替えるオートファジーのおかげで、昨日も今日も変わらない体で過ごせています。

現在のアンチエイジングという表現の中には、細胞の老化現象に抗うという意味が含まれており、オートファジーの活性によってそのようなことも可能になるのではないかと注目されてきました。ですが、細かく見ていくと少し違うようです。

その理由を説明していきましょう。

まず、オートファジーによる作用とは何なのでしょう。

エイジングは「細胞の老化」

よく「細胞が老化する」と言いますが、それはどんな状態でしょうか。

細胞の老化とは、細胞が分裂や増殖をやめて、元に戻ることができない状態のことです。これは加齢によって生じるとされており、この老化した細胞が臓器や組織の機能低下を引き起こすことで、加齢性の疾患をもたらす誘因や体の機能にもさまざまな変化をもたらします。

そこで、オートファジーを活性化させることが重要となるのです。活性化によって次のような作用が考えられます。

新陳代謝

  • 古くなった細胞内成分を分解して細胞内をきれいに保つ
  • 細胞内の不要物を排除して老化の兆候を遅らせる
  • 肌や髪にハリやツヤを与える
  • 肌のターンオーバーを促して肌トラブルの軽減

免疫機能のサポート

  • 細胞に侵入した細菌やウイルスを分解して感染を防ぐ
  • 免疫機能を維持して病気になりにくい体を維持する

栄養を得る

  • エネルギー不足時に栄養を供給する

オートファジーには細胞の老化や加齢の現象を食い止める機能があると考えられています。一方で、これまでのアンチエイジングの考えであった「若返る」とは異なり、細胞の加齢をコントロールするような機能があると言えます。

このことから、広く考えられているアンチエイジングと違い、加齢のコントロールや、加齢する時間を延伸していく意味で、ビヨンド(beyond:越える)+エイジング(aging:加齢)という考え方が近くなります。

アンチエイジングからビヨンドエイジング

オートファジーとは、細胞の中の―つの機能で、細胞の恒常性を保つ役割をするものです。 まだまだ発展途上の研究ではありますが、若い細胞の機能を維持することに期待が高まり、今では健康業界・美容業界からも注目を集めています。

また、さまざまな課題を克服できる可能性を秘めているオートファジーは、これから長寿社会を迎えていくなかで、ますます関心が高まり、社会での活用も見込まれています。

これらは、細胞自体の機能を維持する可能性があり、これまでの逆行を意味していたアンチエイジングの範疇を大きく広げることを意味しています。つまり、オートファジーの低下を抑えることは、細胞の健康を保ち、若々しい身体を維持することなのです。

老化現象に対処して若返ることを目的としたアンチエイジングから、細胞自体を若々しく保ち健康寿命を延ばしていくビヨンドエイジングという考え方こそ、これからの私たちには必要です。そして、若々しく歳を重ねることが自分らしく生きていくことにつながっていくでしょう。

オートファジーのもたらす未来

日本は世界有数の長寿国であり、これから超高齢社会を迎えると言われています。しかし、病気にならず元気な状態でいられる健康寿命が、平均寿命よりも10歳ほど短いという統計が出ているのも事実です。これは、多くの人が人生の最後の約10年間を病気とともに過ごしていることを意味します。 元気で長生きしたい、それは誰もが持っている願いです。

ビヨンドエイジングが進んだ将来は、テクノロジーと医療の進化によって、心も体も健康で充実した人生を送ることができるようになります。そして、それは年齢を重ねることが新しい可能性を広げることに繋がる時代の訪れでもあるのです。

だからこそ、オートファジーを促進することで、老いることを恐れるのではなく、ポジティブに捉えるようになり、生きがいを持って暮らせる社会になるでしょう。

これまで人類が夢に思い描いていた不老長寿が現実になりつつある。そんな未来を想像するだけでなんだかワクワクしませんか?

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